これまで生産計画の登録を説明してきました。生産計画を登録すると、次にいつ作業を行って、必要な部材は何かを算出する工程展開を行います。ただ、工程展開は、マスタをよく理解せずに設定すると、意図しない計画が立ってしまうことになります。ここではマスタの登録について解説していきます。

工程展開で必要なマスタは主に3つ工程構成マスタ、部品構成マスタ、品目マスタです。工程構成マスタ、部品構成マスタは工程展開により次のようなデータが作成されます。

工程構成マスタ→工程計画

部品構成マスタ→所要計画

部品構成は登録しなくても問題なく展開できますが、工程構成が1件も登録されていないと展開エラーとなりますので注意してください。それでは工程構成マスタより詳しく解説していきます。

品目一覧より、工程構成を入力したい品目をクリックし、選択状態にします。選択状態になったら、上部メニューの「工程構成」をクリックすると、工程構成マスタが起動します。


では、製品が次のような工程によって製造される場合の入力を考えていきます。


工程構成マスタは、作業が行われる順に入れていってください。上記例では「工程1」から登録していきます。

 

工程ID、工程CD

まず工程IDと工程CDと同じような感じの項目があります。工程IDは工程構成の中の識別番号のようなものです。そのため工程構成マスタの中で重複しないようなコードをとる必要があります。適当に数字をうち重複しないようにしても良いのですが、もし1つの製品の中で工程が重複しないのならば、工程CDをそのまま工程IDにすると、実績入力などで分かりやすくなるので工程ID=工程CDをお勧めします。工程構成マスタでは、工程IDが未入力状態のままで工程CDを入力すると、自動的に工程IDに工程CDが入るようになっています。


工程種別

工程の種類を決めます。工程の種別は、「通常」「外注」「固定」の中から選択します。それぞれの区分の説明を下記に記します。

通常

製品の製造個数に比例して作業時間がかかるもの

外注

外注先が作業を行うもの

固定

製品の製造個数に関わらず、一定の時間で作業が行われるもの

一般的には「通常」を指定すればよいと思います。「外注」を指定した場合は、作業時間の細かい設定はできません。外注先に作業を依頼して、納品されるまでのリードタイムを入力することになります。「固定」は一定時間を入力できるのですが注意すべき点があります。例えば、乾燥する工程がある場合、非稼働時間(夜中など)に割り当てることができません。そういった工程の場合は、割り当てる設備の稼働時間を変更しておく必要があります。

 

区分、リソースCD

作業を行う工程の割り当てる設備や人を入力します(このシステムでは1つの工程で、1つの設備しか登録しかできません)。区分は「設備」もしくは「社員」を選択します。リソースCDは、区分が「設備」の場合は設備マスタのコード、「社員」の場合は担当者マスタのコードを入力します。選択ボックスからの選択の場合、選択すると両方の値が入ります。区分が「外注」の場合は、外注設備を登録する必要があります。

 

台数

工程種別が「通常」の場合、入力できます。同じ設備能力のものを複数で稼働させて作業を行う場合に台数(人数)を入力します。2台と入力すれば、当初1台でやる予定の半分の作業時間となります。1工程に1設備しか登録できませんが、このように同じ設備能力ならば台数により調整することはできます。

 

外注CD

表示項目です。リソースコードで外注設備を選択した場合、外注設備の外注先CDと外注先名、さらに外注リードタイムが表示されるようになります。

 

段取時間、単位数量、単位時間

工程種別が「通常」の場合、入力できます。これらの項目は、作業時間を算出するために使われます。段取時間は作業を行うための前準備時間で、生産数量に左右されません。単位数量と単位時間は、何個製造するのに何分かかるというような設定を行います。よって稼働時間は以下の計算式となります。

稼働時間 = 段取時間 + (単位時間/単位数量) × 製造数量

 

固定期間

工程種別が「固定」の場合、入力できます。入力した期間がそのまま稼働時間となります。

 

外注LT

外注先に作業を依頼してから、納品されるまでのリードタイムを入力します。このシステムでは外注先の設備などを管理しないため、単純にリードタイムだけの設定となります。外注先が入力された時に、外注先に設定されている外注LTが初期セットされます。もちろん、その後に変更することは可能です。


 

取数

製造するものによっては、射出などの工程により、工程の製造数が倍増することがあると思います。例えば1枚の板が20枚に切り取られる時などは、20と設定します。そうすると1枚当たり単位数量と単位時間には1枚当たりの作業時間を入力することができます。

 

歩留

歩留りは、全体に対する成果の割合をパーセントで入力します。数量計算は次のようになります。

前工程の数量 = 後工程の数量 / 歩留

下記のような例がある場合、最終的に必要な数量は,000なので工程3の生産数は、上記の式を使い 1000/0.98 = 1021となります。これを工程1まで計算し、工程毎の製造数が求められます。


 

最終工程

工程構成では、最終工程を1つ指定する必要があります。最終工程に指定されると、その工程の実績が入れられた時に、製品の在庫計上が行われるなど他の工程と違った動きをするようになります。

 

項目の説明は終わったので、実際に入力していきます。

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